今回のテクニカルニュースの概要


今回ご紹介する事例は、ヘミング曲げを行う際、鋭角曲げ金型と潰し曲げ金型が一体化された特殊ヘミング金型を使用することで、曲げ加工の工数を削減し、加工時間を大幅に削減することができた
技術提案事例です。

※ヘミング曲げとは、板の端を180度折り返し、平らに押しつぶす曲げ加工のことです。

以前は、ヘミング曲げを行う際、鋭角曲げを先に行った後に、潰し曲げ加工を行っていました。この2種類の曲げ加工で使用する金型は形状が異なるため、同時に取り付けて加工(ステップベンド)することができませんでした。

また鋭角曲げ加工をした後は一度、製品をその近くに置き、その後それらの製品を台車を使用して、潰し曲げ用のベンダーがある場所まで移動していました。

このように、金型が2種類に分かれていたことで、段取り工程でかなりの時間がかかっていました。

しかし、今回ご紹介する鋭角曲げ金型と潰し曲げ金型を一体化した特殊ヘミング金型を用いたことで、下記図のように工程を減らすことができ、大幅な加工時間の短縮を実現することができました。

製品サイズによって一度に台車で運べる個数が変わるため、あくまで一例ではありますが、10個程度の数量が少ない場合は、一体化した特殊ヘミング金型を使用したことで、以前と比較し、段取り工程を含めると加工が完了するまでの時間がおよそ半分になりました。

 

課題:ヘミング曲げを行う際、鋭角曲げと潰し曲げをそれぞれ別のベンダーで行うため、製品の移動などの工数が増え、加工に時間がかかってしまう…

 

以前はヘミング曲げを行う際、鋭角曲げと潰し曲げ、それぞれ別のベンダーで行っておりました。

同じベンダーにこの2種類の金型をセットできればよかったのですが、それぞれの金型の形状が異なるため、同時に取り付けて加工(=ステップベンド)することができませんでした。

そのため加工工程としては、

  1. まずヘミング曲げ用の金型をセットする
  2. 鋭角曲げを実施する 
  3. 鋭角曲げをした製品を近くに取り置く 
  4. 鋭角曲げ後の製品を潰し曲げのベンダーの場所まで台車に載せて移動させる
  5. 潰し曲げの用の金型をセットする 
  6. 潰し曲げを実施する

というような手順で行う必要がありました。

このように、鋭角曲げと潰し曲げが別のベンダーで行う必要があったため、製品を移動させるという工程が発生しておりました。

製品サイズが小さい場合は、一度大量に個数を運ぶことができますが、製品サイズが大きくなると一度に運べる量も限られてしまいます。

また、両端をヘミング曲げしないといけない場合には、2往復が必要になりますので、更に加工に時間がかかってしまう問題もありました。

このように以前は、ヘミング曲げにかなりの時間を要しておりました。

 

筐体設計・製造.COMの対策:鋭角曲げ金型と潰し曲げ金型を一体化した、特殊ヘミング金型を使用することで、圧倒的な加工時間の短縮を実現!

 

今回、筐体設計・製造.comでは、鋭角曲げと潰し曲げを別のベンダーで行うために、製品移動などの段取り時間が膨大で加工に時間がかかる問題を、鋭角曲げ金型と潰し曲げ金型を一体化した特殊ヘミング金型を使用することで解決しました。

この一体化した特殊ヘミング金型を使用を使用することで、ヘミング曲げの工程が以下になりました。

  1. 一体化特殊ヘミング金型をセットする
  2. 鋭角曲げを実施する 
  3. 連続して、潰し曲げを実施する

このように以前は必要だった、製品移動の工程や余分な金型セットの時間を短縮でき、結果、大幅な加工時間短縮を実現することができました。

冒頭でもご紹介してはいますが、具体的にいうと、10個程度の数量が少ない場合は、一体化した特殊ヘミング金型を使用したことで、以前と比較し、段取り工程を含めると加工が完了するまでの時間がおよそ半分になりました。

この特殊ヘミング金型を使用した曲げ加工の様子を下記、動画でご紹介しておりますので、是非こちらをご確認ください!!

この一体化した特殊ヘミング金型を使用して、曲げ加工をした実際の製品もお写真でご紹介させていただきます。

この特殊金型を使用するこで、動画の通り、鋭角曲げした後に部品を持ったまま、連続して潰し曲げを行うことができます。これにより、部品の取り置き作業も行う必要がございません。

このように一体化した特殊ヘミング金型を使用することで、加工時間を大幅に短縮することができました。

 

まとめ

 

筐体設計・製造.comを運営する岡部工業では、社内の業務効率改善に積極的に取り組んでおります。 お客様とご相談上、お客様にコストメリットが発生する場合は今回のような、金型の一体化などもご提案が可能です。

また、筐体設計・製造.comが保有する金型について下記ページでまとめております。こちらをご参照いただき、お問い合わせいただけますと幸いです。下記でご紹介している金型以外にも、特殊形状など今回の事例ように、特注で金型製作し加工をすることも可能ですので、まずは一度お問い合わせください!

お客様への日々のVE提案に加え、生産性の高い設備、機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にご相談くださいませ。

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