今回のテクニカルニュースの概要


今回ご紹介する事例は、手作業で行っていたマスキングを貼る作業・剥がす作業を、簡単に着脱が可能な専用の塗装用マスキング治具に置き換えたことで、マスキング時間の短縮による圧倒的な生産性向上、また品質不良の防止を行うことができた
技術提案事例です。

以前は、塗装工程の前後に発生するマスキングを貼る作業、剝がす作業を手作業で行っていました。

手作業で行う場合、マスキングを貼る際は、指定された範囲を間違えないよう正確に貼り付ける必要があるため、非常に時間がかかっておりました。

また、マスキングを剥がす際についても、塗装後に時間が経つと固まってしまうため、剥がしている途中でテープが千切れしまわないよう、根気強く地道に剥がす必要があり、想像以上に時間がかかっておりました。

このように手作業の場合、一部品あたりおよそ貼るのに2分、剥がすのに2分の合計4分もの時間がかかっていました。

しかし、今回ご紹介する技術提案事例のように、専用の塗装用マスキング治具を開発したことで、マグネットによる簡単に着脱を実現。また、マスキングを手作業で貼る行為も剥がす行為もなくなったことで、マスキング作業にかかる時間をおよそ1/10の30秒ほどに短縮することができました。

この塗装用マスキング治具による作業時間の短縮は、ロット数が大きくなればなるほど、大きな効果を発揮します。

仮に、この製品のロットが1,000個の場合、合計58時間もの作業時間の短縮に繋がります!ロット数が大きくなると、この専用マスキング治具の効果は大きくなります。

また、生産性向上というメリット以外にも、この専用塗装用マスキング治具を活用したことで、作業者ごとの品質の違いも防止、またマスキングを剥がす際に製品を傷つけてしまう心配もなくなりました。

このように、生産性の向上と品質不良の防止の2点で、この塗装用マスキング治具は大きな効果を発揮しました。

 

課題:手作業でマスキングを貼る、剝がす作業を行うため時間がかかる…

塗装前に必要なマスキングの工程(マスキングテープを貼る工程と剥がす工程)を、元々は手作業で行っておりました。

マスキングテープを貼る作業は、マスキングする範囲が指示されているため、正確に狙ってテープを貼り付ける必要があります。そのためこのような作業は、作業者による品質の差が生まれたり、作業にかかる時間にも差が生まれたりしておりました。

当たり前ではありますが、マスキングテープを貼るためには、まずはマスキングテープを所定の長さに切る作業を行う必要があります。このようにマスキングテープを貼るという作業だけでも、かなりの時間がかかっていました。

また、マスキングテープを貼る作業だけでなく、剝がす作業においても同様で、塗装後はマスキングテープの粘着力が増しているため、剥がしている途中でテープが千切れしまわないよう、気を付けて剥がす必要があり、作業に時間がかかっておりました。

特に、塗装の中でも焼付工程があるものについては、時間が経つとマスキングテープが非常に剝がれにくく、また焼付塗装後すぐ剝がそうとすると高い熱を帯びていることから、火傷の心配もございました。

時間が経ち剝がれにくくなってしまったものについては、綺麗に剝がすために、再度温めながら剥がしていたため、更に時間がかかっていました。

 

筐体設計・製造.COMの対策:ワンタッチで着脱可能な専用の塗装用マスキング治具を開発し、圧倒的なマスキング時間の短縮を実現!

今回、筐体設計・製造.comでは、かなりの時間がかかってしまうマスキング工程の課題を、専用治具を開発することで解消いたしました!

この塗装用マスキング治具は、製品形状やマスキング箇所に合わせた特注仕様となっております。またこの専用治具は、マグネットがついていることから、着脱がワンタッチで非常に簡単に行うことができます。

この塗装用マスキング治具を開発したことで、元々貼る作業・剥がす作業を含め4分ほどかかっていたマスキング工程が、およそ1/10の約30秒まで短縮することができました!

さらに、マスキングテープを剝がす際の製品への傷リスクも改善。また、作業者ごとに生まれる品質の差も改善することができました。

この塗装用マスキング治具は、正しい向きでない場合、上手く取り付けができない仕様となっておりますので、左右向きの取り付け間違いなども発生しません。

このように、塗装用マスキング治具を開発したことで、圧倒的なマスキング時間の短縮、更には品質不良の防止を実現することができました。

 

専用治具の開発もお任せください!

今回、手業で行っていたマスキング工程を改善するために、お客様と協力して専用の治具を開発、製作いたしました。

下記画像が実際に使用しております、塗装用マスキング治具になります。

筐体設計・製造.comではこのように必要に応じて専用治具などを開発することで、生産性向上や現場改善を行ってきました。今回の技術提案事例以外にも、塗装工程で使用する専用台車を製作して、生産性を向上した事例がございます。是非こちらも合わせてご覧ください!

>>【塗装工程の内製化&専用台車を活用し、リードタイム短縮と品質不良の防止を実現!】テクニカルニュース vol.81

 

まとめ

筐体設計・製造.comを運営する岡部工業は、専用の塗装用マスキング治具を開発したことで、手作業で行っていた際よりも、圧倒的なマスキング時間の短縮、更には品質不良の防止を実現いたしました。

この塗装用マスキング治具は、マグネット付きで、ワンタッチで取り外しが可能、更に左右の取り付け間違いも発生しない仕様となっております。

筐体設計・製造.comでは、塗装用の治具の開発を行い、マスキングにかかる時間を削除するご提案が可能です。このようなお困りごとがござましたら、是非一度当社にご相談ください。

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