今回ご紹介する事例は、板金部品にピンをかしめる際に、ハイスピンかしめにてかしめるようにご依頼いただいた製造品に対して、ピンをフランジ付きピンに変更すること、そしてハイスピンかしめのピン直径を揃えるように設計変更をすることをご提案して、結果としてコストダウンにつながった技術提案事例です。
フランジ無しのピンを使用するためのかしめ治具は、どうしてもピン長さに合わせた止まり穴になってしまいます。しかしこうすると、ピンの直径と深さに応じて、専用のかしめ治具を製造しなければいけません。もちろん、専用の治具を製造するのは、余計なコスト増加につながってしまいます。
そこで筐体設計・製造.comでは、ピンをフランジ付きピンに変更することをご提案いたしました。また、ハイスピンかしめのピン直径を揃えるように設計変更を加えることになり、品質はもちろんのこと、価格面でもご満足いただける筐体製品をお届けすることができました。
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今回のお客様は、板金部品にピンをかしめる際に、ハイスピンかしめにてかしめるように指定してご依頼がございました。
ハイスピンかしめとは、丸いピン等の切削部品を、板金筐体に取り付ける方法の一種です。丸いピンを固定治具にセットし、高速で回転させた上型を徐々にピンに押し当てて板金部品に固定します。
詳しくは、下記のハイスピンかしめに関する記事、またはハイスピンかしめの動画をご覧ください。
ハイスピンかしめする際には、回転力を受けて位置がずれないように、固定治具にピンなどの切削部品を入れる必要があります。
この時、ピンにフランジ(つば)が付いていない場合、治具が穴だけの場合はピンが落下してしまいます。そのため、フランジ無しのピンを使用するためのかしめ治具は、どうしてもピン長さに合わせた止まり穴になってしまいます。しかしこうすると、ピンの直径と深さに応じて、専用のかしめ治具を製造しなければいけません。
もちろん、専用の治具を製造するのは、余計なコスト増加につながってしまいます。今回のお客様も、通常のピンでのハイスピンかしめにてご検討されていたため、コストアップにつながる恐れがありました。
そこで筐体設計・製造.comでは、ピンをフランジ付きピンに変更することをご提案いたしました。
ピンにフランジがついていると、下図のように、かしめ治具に入れる際にフランジ部で支えることができるようになります。そのため、治具の穴はピンを逃がすだけでよくなり、ピンの直径さえあっていれば、既存治具を長さの異なるピンに対して使用できるようになります。
このように、様々な長さに対応する冶具を製造することで、ピン直径と深さに縛られた専用治具を準備する必要はなくなり、結果としてコストダウンにつなげることができます。
また今回のお客様は、ピンの直径が場所によって異なっていたため、それぞれの直径にあわせた治具が必要な状態でした。しかしピンの直径を一定にすることで、長さの異なるピンであっても、共通の治具でハイスピンかしめを行うことができるようになります。
ハイスピンかしめの場合は、まずはフランジ付きのピンに変更することで、さらに直径を一定に揃えることで、専用治具が必要なくなるため、大幅なコストダウンにつなげることも可能です。
こちらのお客様も、当社の技術担当者からの提案をもとにご相談した結果、ハイスピンかしめのピン直径を揃えるように設計変更を加えることになり、品質はもちろんのこと、価格面でもご満足いただける筐体製品をお届けすることができました。
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筐体設計・製造.COMを運営する岡部工業では、お客様への日々のVE提案に加え、生産性の高い機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にお声掛け下さい。