精密板金における抜き加工においては、汎用金型の組み合わせで金属板を打ち抜き、製品の形状を得るNCT(ターレットパンチプレス)や、自由な輪郭形状を切り出すことができるレーザー加工機などによって抜き加工を行います。精密板金の抜き加工による加工精度は、これらの機械の精度によって決まってきます。
NCT(ターレットパンチプレス)でNCT金型を使用した抜き加工の精度では±0.05mm程度となります。これは、NCT金型で1パンチの穴を加工した時の、穴の形状精度です。
一方、NCT(ターレットパンチプレス)で外形形状を加工する場合は、NCT金型で外形に沿って複数の穴を加工することになります。この時の外形形状の精度は、NCTの位置決め精度で決まってきます。こちらは±0.07mm程度の精度となるため、NCTを使用する場合の外形形状の精度はこの程度が限界です。
また、筐体設計・製造.COMを運営する岡部工業が保有するファイバーレーザー加工機FOL3015AJは、リニアモーターカーと同様の原理をもつリニア駆動方式を採用した軸送り方式のため、位置決め精度が±0.015mm程度と高い精度を持っています。しかし、レーザーでの抜き加工は、レーザーのビーム径、レンズの焦点距離、板金材料を支える”剣山”の状態など様々な条件に影響を受けるため、レーザーでの加工精度は±0.1mm程度になります。