塗装膜厚計には様々な測定方式があります。中でも電磁式と渦電流式という2つの方法がございますが、測定対象となる板金部品の材質が磁性体か非磁性体かによって、使い分けを行います。
電磁式は電磁誘導式とも呼ばれています。この方式の測定器の先端は、交流電流が流れている鉄心入りコイルがある、電磁石になっています。このコイルに磁性体を近づけると、部品がコイルに引っ張られますが、この時にコイルが発する磁力(磁束密度)が変化するため、コイルには電磁誘導によって変化と逆向きの電圧が発生します。この電圧はコイルと磁性体との距離に応じて変化するため、この変化を利用して塗装の膜厚を測定します。
このような測定原理のため、電磁式の膜厚計で塗装膜厚を測定する場合は、板金の素材は磁性体である必要があります。一般的な鉄系の素材(SECC、SS400など)や、フェライト系ステンレス(SUS430など)は磁性体のため、この方法で塗膜膜厚が測定できます。
それに対して、渦電流式は非磁性体金属に対応した測定方法です。アルミニウム、銅、真鍮などの材質が該当しています。
渦電流式の膜厚計は、測定器の先端に電磁石がある点は電磁誘導式と同じですが、非磁性体は磁石にくっつかないため、異なる測定原理によって測定します。交流電流が流れる電磁石から発生している交流磁界が非磁性体に近づくと、非磁性体の表面には渦電流が発生します。この渦電流は交流磁界を打ち消すような向きに発生するため、電磁石に流れる交流電流から見ると抵抗は増加することになります。この抵抗の大きさは距離に応じて変化するため、この抵抗を測定して塗装の膜厚を測定します。
このように大きく2つの測定方法がある膜厚計ですが、高機能な膜厚計の場合は電磁式と渦電流式のどちらも搭載されたハイブリッド型の膜厚計のため、材料の磁性に問わず塗装の膜厚を測定することができます。
筐体設計・製造.COMでは、上記のハイブリッド型の膜厚計を所有しているため、お客様のご要望に沿った筐体塗装の膜厚測定に対応しております。筐体塗装にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。