粉体塗装とは?
粉体塗装とは、言葉通り粉末状の塗料を被塗物に付着させることで塗装を施す方法です。
代表的な溶剤塗料・水性塗料の種類としては、着色させるための「顔料」、塗装の性能を左右する「樹脂」、その性能をより向上させる硬化剤やフィラーといった「添加剤」、それらも混ぜ合わせて希釈させたシンナーなどの「溶剤」などがあります。
しかし、粉体塗装は溶剤を使用せず、「顔料」「樹脂」「添加剤」を細かくした粉体を塗料とします。
この粉体を被塗物に付着させ、焼き付け乾燥させることで塗膜を形成し、塗装を施す塗装法を粉体塗装と言います。被塗物への塗装の際には、静電気を用いて、被塗物にプラス電気を帯電させ、粉体塗料の専用ガンにマイナス電気を帯びさせることで付着させます。
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粉体塗装に使用される塗料
粉体塗装において使用される塗料は、大きく分けて2つの種類が存在します。
熱可塑性粉体塗料
樹脂メーカーが提供する方法で、塩化ビニル、ポリエチレン等が素材となる塗料です。被塗物に付着し、粉末を220℃以上の高熱で溶接した後に冷却することで固化し、塗料の膜が完成します。
熱硬化性粉体塗料
塗料メーカーが提供する方法で、フッ素樹脂、ポリエステル等が素材となる塗料です。加熱することで架橋反応を発生させ、塗膜が完成します。
粉体塗装のメリット
粉末塗装のメリットには以下の2点が挙げられます。
①経済的で高品質
紛体塗装は1コート約60μmと、膜厚が厚いため耐久性と防錆性が高く、塗料を塗り直す必要がほとんどありません。そのため、非常に高いコストパフォーマンスを発揮できる点が特徴です。また、粉末塗装によって作られた塗膜には耐食性・耐候性・柔軟性など多くの効果が含まれており、塗装が強化されることで高い品質も得られます。
②効率良く環境的
溶剤塗装に比べて、噴霧した塗料が付着する割合(塗着効率)が高く、効率良く塗装ができます。また、一般的な塗料の場合は顔料や樹脂を溶かす際にVOC(発揮性有機化合物)が発生し、空気中に放出されることで光化学スモッグの原因となってしまいますが、粉末塗装に使用される塗料には有機溶剤が含まれないので成分が揮発し変質が起こらないことで塗料の再利用も可能となります。
そのため、人の健康や環境に影響を及ぼすことはありません。粉体塗装は、非常に環境に優しい塗装方法なのです。
粉体塗装のデメリット
その一方で、粉末塗装にはデメリットもあります。
薄い膜厚での塗装は苦手
粉体塗装に対応できる厚みは決まっており、その最小値は30μm程度となっています。細粒化させることで、塗着効率低下・静電反発の誘発、塗装作業性低下を引き起こしてしまう恐れがあります。
そのため、薄い膜厚に塗装を行う場合、液状の溶剤塗装など別の塗装方法を検討する必要があります。
また、粉体塗装は実際の使用状況により、耐久期間を大きく変動し、一概に「このぐらい」と言えるものではありませんので、使用環境を把握した上で行う必要があります。
筐体設計・製造.comの粉体塗装による製品事例
ここでは当サイト「筐体設計・製造.com」が実際に行った粉体塗装の事例をご紹介します。
こちらの製品は、テレビなどを壁に取り付けて支えるための溶接組み立てラックです。ある程度の重量物であっても落下しないような作りになっており、荷重が特定の箇所に集まらないようにバランスを取るようにCADにて計算・設計しております。最後の仕上げとして、粉体塗装を施してから出荷・納品しています。
粉体塗装は筐体設計・製造.comにおまかせ!
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