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精密板金・製缶板金の組み立て加工品である「筐体」の内、大型サイズのものを“大型筐体”と呼びます。
大型筐体には制御盤や配電盤などの屋外盤、コンピュータ用筐体やアーケード用ゲーム筐体、19インチラック、空調機器や電気機器、電子機器などの屋内に使用される筐体、工作機械や装置・機器に使用されるような産業用の大型筐体があります。箱の形状をしているものを指し、「ボックス」「キャビネット」「ケース」とも呼ばれます。
特に、屋外に設置される大型筐体の場合には、防水・防塵の規格であるIP規格が適用され、防錆性・防食性を高めるために塗装を行います。屋外であっても、設置場所・設置環境によってはその仕様も大きく変わり、海岸や海に近い屋外に設置される場合であれば耐塩塗装、日差しが強い場合などはサンシェード(日よけ)の取り付けを行うこともあります。
屋内に設置する大型筐体であっても、電子機器や基板などの発熱をする機器類を内蔵することが多くあるため、ルーバー加工やパンチングメタルなど放熱用の機構や窓の設置を行い、内部に熱が滞留し、内蔵部品・機構部品への悪影響が起こらないようにしています。
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大型筐体は比較的簡単な構造のものから、部品点数が400点を超えるような複雑な大型筐体もあります。筐体の組み立ては溶接組み立てを行うことがほとんどですが、部品点数の多い複雑な大型筐体ともなると溶接熱による歪みを最小限にできるような設計構造、加工・製作が必要です。部品点数が多くなれば、少しの歪みやズレが累積することによって、最終的な組み立て品になった際には大きなズレを生み出してしまいます。
溶接の方法もファイバー溶接やYAG溶接など、比較的、溶接熱による歪みが少ない溶接方法の適用や、逆歪みによる組み立てを行うなど加工手順を工夫することも重要です。歪みが大きくなると、嵌め合いとなる部品や窓・扉などの開閉に影響を与え、製品としては大きな欠陥を持つこととなってしまいます。
もちろん、筐体の加工・製作段階も重要ですが、精密板金による大型筐体の設計においては展開後の作業性(加工・溶接・組み立て・塗装)を加味した設計がコストダウンや品質改善に大きな効果に繋がります。無理のある設計条件を盛り込んでしまうと、展開~加工・製作の際の作業性の低下による歩留りの悪化や、溶接不良、塗装不良などの品質低下につながり、結果として高い品質の大型筐体を作ることができません。実際の加工・製作という下工程を理解した板金設計・筐体設計を行うことで、最適なコストで高品質な大型筐体を作ることができます。