今回のテクニカルニュースの概要

今回ご紹介する事例は、一見すると簡単そうに見えて実は加工不可だった精密板金部品を、曲げR径を変更するのみで加工可能にしたVE提案事例です。

お客様からは、一見すると簡単そうに見える精密板金部品のご依頼をいただきました。

しかしR8の曲げ金型を保有しておらず、またR曲げの手順に縛りがあり、さらにR曲げ部が下型に干渉してしまうなど、様々な制限がある難易度の高い板金部品でした。そのため、現状のままでは製作できず、設計変更が必要な製品でした。

そこで筐体設計・製造.comでは、様々な提案検討を重ねた上で、内側R曲げの径を変更することで、既存金型で加工可能にして、また金型干渉を回避して、加工可能にするVE提案をいたしました。簡単にそうに見えて、実は様々な検討の余地がある事例でしたが、当社ではこのようなVE提案事例が多数ございますので、お困りの方はぜひ下記事例をご覧ください。

課題：簡単そうに見えて、実は製作不可な精密板金加工品…

お客様からは、下記の様な形状の曲げ部品のご依頼をいただきました。

一見すると何も特徴がない製品ですが、2つ大きな課題がありました。

1つ目は、R8の曲げです。この径のR曲げ金型は社内で保有していなかったため、新規で金型を購入または製作する必要がありました。しかし新規金型になると非常にコストが高くなってしまうのが懸念点でした。

そして2つ目として、万が一R8の曲げ金型が手元にあったとしても、曲げ高さが小さいために、先端部の小R曲げを行う際に下型との干渉が発生してしまう点でした。そのため、いずれにしても形状を変更するか、工法変換する必要がありました。

筐体設計・製造.COMの対策：内側R曲げの径のみ変更することで加工可能に！

そこで筐体設計・製造.comでは、様々な提案検討を重ねた上で、内側R曲げの径を変更するご提案をいたしました。

具体的には、R8だった箇所をR5.5に変更して、当社が保有しているR曲げ金型で加工できるように設計変更いたしました。こうすることで新規金型の製作コストがかからなくなります。

また2つ目の問題だった下型との干渉についても、内側R曲げの径を変更したことで曲げ高さを確保できるようになり、先端部の小R曲げ時に下型との干渉が回避されました。そのため曲げ高さを変更することなく、内側R曲げの径のみ変更することで解決することができました。

今回の事例は、簡単にそうに見えて、様々な検討の余地がある事例でした。

制限としてあったのは、R曲げの順番です。

内側R曲げを後から加工してしまうと、先端部の小R曲げ部がいずれの場合においても下型に干渉してしまうので、曲げ不可となります。そのため曲げの順番としては、先端部の小R曲げ ⇒ 内側R曲げ、という順番で固定されます。

また対策方法として、内側R曲げの金型を新規製作して、先端部の曲げ時に下型との干渉が起きないように、曲げ高さを大きくするという方法もございました。しかしこの方法では新規金型の製作が発生してしまうため、コストを抑えるためには新規金型を製作しない方法を選択する必要がありました。

さらに曲げ高さが変化してしまうと、精密板金筐体を組立する際に不具合が生じる可能性もありました。筐体設計・製造.comでは、筐体全体の組立設計や筐体として求められる機能も、すべて考慮した上でVE提案を行いましたので、従来は不可能だった精密板金加工を可能にすることができ、お客様からも安心して精密板金筐体の設計をお任せいただけました。