今回のテクニカルニュースの概要
今回ご紹介する事例は、突き当て部がない部品を正しく曲げることに成功した技術提案事例です。
今回のお客様からは、以下に示す突き当て部がない部品の曲げに苦戦しているとのことでお問合せをいただきました。突き当て部がない板材では、曲げを行う際にベンダーに押し当てる突き当て部がなく、正しく曲げることができないという大きな課題がありました。
そこで、筐体設計・製造.COMでは、突き当て部となる支えを設けることで、突き当て部を確保する方法をお客様にご提案いたしました。支えを追加することで、ベンダーに対して、曲げ線と平行に突き当てができ、板材を正しく曲げることに成功しました。
お客様の課題
今回のお客様からは、以下に示す突き当て部がない部品の曲げに苦戦しているとのことでお問合せをいただきました。
以下の図は、お客様の板材の展開図になります。台形形状をした、曲げ線(曲げる場所)と平行な場所がない部材でした。曲げ線は、どこになるのでしょうか。
↑板材の展開図
こちらの板材の、曲げ箇所(曲げ線)としては、以下に示す2か所になります。
次の図で、この板材を曲げた際の立体図を示します。
↑板材の曲げ箇所(曲げ線)
さきほどの、2か所の曲げ箇所(曲げ線)を曲げると、以下の図中の曲げ後の図のようになるのですが、曲げの際に大きな問題がありました。
↑板材を曲げた後の図
大きな問題は、こちらの板材では、曲げを行う際にベンダーに押し当てる突き当て部がなく、正しく曲げることができないということでした。
「下図の丸で囲まれた部分をベンダーに突き当てればいいのでは?」
と思われたかもいるかと思います。
しかし、曲げ線と突き当て部が平行になっていない場合、板材を正しく曲げることができません。
↑突き当て部がない…
一般的に、ベンダーで板金部品を曲げる際には、ベンダー機の突き当て部に板金部品を押し当てることで位置決めを行い曲げます。
この突き当て部には、幅100mm程度の平行な部分を押し当てる必要があります。
そのため、今回お客様から頂いた上図のような展開形状をした部品の場合、曲げ線(曲げる場所)と平行な場所がない(長さが足りない)ため曲げ加工をすることができません。
上述のように、今回の事例のような突き当て部がない板材を曲げようとすると、正しく曲げられないという大きな課題がありました。
筐体設計・製造.COMの提案
そこで、筐体設計・製造.COMでは、突き当て部となる支えを設けることで、突き当て部を確保する方法をお客様にご提案いたしました。
↑支えの図
支えを追加することで、幅100mm程度の曲げ線と平行な部分が確保できます。
そのため、ベンダーに対して、曲げ線と平行に突き当てができ、板材を正しく曲げられます。
さらに、以下の図のように、支えと本体との接続部分にミクロジョイントを設けることで、後で簡単に切り離せるようにしておくこともご提案致しました。ミクロジョイントを用いると、支えを手で簡単に切り離すことができます。
↑ミクロジョイントの図
支えがついた状態で、板材を曲げたのち、ミクロジョイント部分を切り離し、ミクロジョイントの跡を仕上げ処理し、完成となります。
↑ミクロジョイント部の切り離し
曲げと、仕上げ処理が完了すると、以下の図のようになります。
↑完成図
以上のように、板材に支えを設けることで、突き当て部を確保し、板材を正しく曲げることに成功しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このように、筐体設計・製造.comを運営する岡部工業では、お客様への日々の課題解決・VE提案に加え、生産性の高い機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたらぜひ当社にご相談くださいませ。
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>>【剛性がない(ペラペラ)部品の曲げ対策方法とは?】テクニカルニュース vol.53
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