今回ご紹介する事例は、曲げ逃げスリットを追加することで、フランジ部分の長い筐体板金部品を曲げ加工するようにしたVE提案事例です。
お客様からは、下の写真のような四辺がコの字形状の筐体板金部品の製作を依頼されました。しかしこのような形状の場合、特に一部のフランジ部分が長い板金部品の場合は、耳付き金型の先端が板金部品の端まで届かないため、曲げ加工できない場合があります。
そこで筐体設計・製造.COMでは、曲げ逃げとなるスリットを追加することで、通常では曲げ加工が困難な形状の板金部品の曲げ加工を実現いたしました。
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板金部品でよくある形状として、例えば下画像のような四辺をコの字形状があげられます。
このような四辺がコの字形状の板金部品は、内側にフランジ部分が曲がっているため、曲げ金型で加工する際に曲げ金型と板金部品が干渉してしまうため、通常の曲げ加工はできません。
そこで、四辺がコの字形状の板金部品の場合は、下画像のような通称耳付き金型と呼ばれる金型を用いて、内側に曲がったフランジ部分を逃がしつつ曲げ加工を行います。
ただし、この耳付き金型の耳形状の長さにも限界があるため、フランジの長さが長い場合には、耳付き金型の先端が板金部品の端まで届かないため、曲げ加工できない場合があります。もし金型先端を板金部品の端まで届かせようとすると、今度はフランジ部分と金型が干渉してしまうため、いずれにしてもフランジ長さが一定程度の長さを超えてくると、耳付き金型であっても曲げ加工することができません。
そのため、四辺がコの字形状で一部のフランジ部分が長い板金部品の場合にはなりますが、下画像のように曲げ逃げとなるスリットを追加するという方法を提案いたしました。
曲げ逃げスリットを追加することで、スリット部分は曲げ加工する必要はなく、金型の耳部分の長さも短く済みます。このように形状を一部変更することで、フランジ部分が長い板金部品であっても曲げ加工することができます。
ただし、スリットの部分だけ隙間が残ることにはなってしまいます。そのため、スリット部分をつなげる必要がある場合は、溶接でつなげて仕上げ加工をする必要が生じます。
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このように、筐体設計・製造.COMを運営する岡部工業では、お客様への日々のVE提案に加え、生産性の高い機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にお声掛け下さい。
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