今回ご紹介する事例は、前回に引き続き、部品を位置決めする際にダボの位置を工夫した事例です。

前回ご紹介した事例は、ベースとなる筐体にハット材を補強として取り付ける際に、お客様からは左右対称なダボを設けてハット材の位置決めをするように指示がありましたが、当社から位置決めダボの位置を左右非対称にするような提案をした事例でした。

しかし、ダボの位置を左右非対称にする以外にも、取り付けミスを未然に防止することができる工夫がございます。

上記は、当社が実際にお客様に提案した、位置決めの際に左右で異なる直径のダボを使用した事例です。わずかな変更ではありますが、これにより溶接・組立作業が効率よくなり、さらに取り付けミスも未然に防ぐことができるようになります。

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前回のテクニカルニュースと同様の内容ですが、左右対称なダボ&へこみの際に生じる可能性がある取り付けミス「逆付け」について、あらためて説明いたします。

【位置決めダボを非対称にして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.32

こちらは、左右対称なダボがあるハット材とベースです。

【位置決めダボを非対称にして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.32

ダボと凹み部分を拡大すると、上記のような断面図になっています。

 

そして、ハット材を180度回転させて取り付けてしまった「逆付け」状態を、正常時と比較したものが以下の図です。

このように左右対称な位置決めダボを作ってしまうと、取り付ける部品を180度回転させて取り付けることもできてしまい、取り付けミスにつながってしまいます。

取り付けミスが発生しまうと、その後の工程に影響が生じたり、不良品発生につながってしまうので、取り付けミスを防止するような板金や筐体を設計する必要があります。

 

【位置決めダボを左右で異なる大きさにして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.33

そこで当社では、位置決めの際に左右で異なる直径のダボを使用することを提案しております。このようにダボを左右で異なる大きさにすると、大きい径のダボが小さい凹み(または穴)に入らなくなるため、反対側に取り付けた際に取り付けができなくなります。

【位置決めダボを左右で異なる大きさにして溶接・組立ミスを防止!】テクニカルニュース vol.33

そのため、部品の位置決め方法が確定し、組立や溶接が効率的になり、取り付けミスが生じなくなります。またダボ以外でも、差し込みと穴の場合でも同様に、左右で異なる寸法の差し込みにして、反対側に刺さらないようにすることもあります。

 

またお客様からは、位置決め無しで筐体製造を依頼されるケースもございます。しかしそのような場合は、部品をどこに取り付けていいのかが確定しないため、組立や溶接などの位置決めの際に時間がかかることもしばしばあります。

筐体製造メーカーに筐体などの設計・製作を依頼する際は、仕様決定する前段階で位置決めの指示を図面に記載いただけると、図面をお送りいただいてからスムーズに見積りが可能となります。

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このように、筐体設計・製造.comを運営する岡部工業では、お客様への日々のVE提案に加え、生産性の高い機器を積極的に活用することで、お客様のご要望に柔軟に応えて参ります。筐体の設計・製造、あるいは筐体の板金部品加工など、お困りのことがありましたら当社にお声掛け下さい。

 

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